高齢者の食事形態一覧表|学会分類2021・UDFの違いと在宅での選び方を解説

高齢者の食事形態一覧表|学会分類2021・UDFの違いと在宅での選び方を解説

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「やわらか食・ムース食・きざみ食・ペースト食——どれを選べばいいの?」

「学会分類2021って何?宅配弁当を選ぶ時にどう使えばいい?」

在宅介護をしている家族からよく受ける質問です。

理学療法士・介護支援専門員として介護現場で嚥下機能が低下した多くの高齢者の食事支援に関わってきた経験から、食形態の選択は在宅生活を続ける上で非常に重要な判断です。この記事では、高齢者の食事形態の種類と選び方を一覧表でわかりやすく解説します。

関連記事:嚥下困難・やわらか食の宅配弁当おすすめ5選|食形態の選び方を専門家が解説

食事形態とは?なぜ重要なのか

食事形態とは、食べる方の咀嚼(噛む力)・嚥下(飲み込む力)の状態に合わせて、食べ物のかたさ・大きさ・粘度を調整したものです。

加齢とともに噛む力・飲み込む力は低下していきます。本人の機能に合わない食形態を選ぶと以下のリスクがあります。

・誤嚥(食べ物が気道に入る)→誤嚥性肺炎のリスク

・窒息(食べ物が喉に詰まる)

・食欲低下・栄養不足 ・食べることへの恐怖心

デイサービスや有料老人ホームなどで働く中でも、嚥下機能が低下しているのに普通食を食べ続けていた利用者が食事中に度々むせ込み、誤嚥性肺炎を繰り返すというケースを経験しました。適切な食形態に変更してから肺炎の頻度が大きく減少しました。食形態の選択は命に直結する重要な判断です。

関連記事:高齢者が食事を食べない理由と対処法|介護現場で見てきた6つのケース

食事形態の分類システム一覧

日本では複数の食事形態の分類システムが存在します。宅配弁当を選ぶ際にも使われる主要な2つを解説します。

①学会分類2021(嚥下調整食分類2021)

日本摂食嚥下リハビリテーション学会によって示された分類で、病院・施設・在宅医療および福祉関係者が共通して使用できることを目的に策定されました。食事5段階およびとろみ3段階について段階分類しています。医療・介護の専門職が使う共通言語として現場に定着しています。

②ユニバーサルデザインフード(UDF)

日本介護食品協議会が制定している自主規格で、レトルト食品や冷凍食品などの調理加工食品において規格に適合したものに特定のマークが記載されています。かたさや粘度により4つに分類されています。市販の介護食品や宅配弁当サービスでよく使われる表示で、家族にとってわかりやすい基準です。

食事形態一覧表(学会分類2021・UDF対応)

以下に食事形態の種類を一覧表でまとめます。左から右に向かって食べやすい(嚥下機能が低い方向け)になります。

食形態名学会分類コードUDF区分かたさの目安対象者の目安
普通食コード4区分1通常の食事噛む力・飲み込む力に問題がない方
やわらか食(ソフト食)コード4区分2歯茎でつぶせる噛む力が弱くなってきた方・入れ歯の不具合がある方
きざみ食コード3〜4区分2〜3細かく刻んだ食事噛む力が低下しているが飲み込みは比較的保たれている方
ムース食コード3区分3舌でつぶせる噛む力が大きく低下した方・飲み込みが不安定な方
ペースト食・ミキサー食コード2区分4スプーンで簡単につぶせる飲み込む力が大きく低下した方
嚥下食(ゼリー食)コード0〜1区分4ゼリー状・ムース状重度の嚥下障害がある方・リハビリ開始初期

各食形態の特徴と注意点

普通食(学会分類コード4・UDF区分1)

通常の食事です。噛む力・飲み込む力に問題がない方が対象です。ただし高齢になるにつれて食べにくい食品が出てきます。のり・わかめ・レタスなど口の中で張り付きやすいもの、ごまなど小さくバラバラになるもの、もちなど粘り気が強いものは、比較的元気な高齢者でも誤嚥リスクがあるため注意が必要です。

やわらか食・ソフト食(学会分類コード4・UDF区分2)

歯茎でつぶせる程度のやわらかさに調整した食事です。食材の形は残っており見た目は普通食に近いため食欲を維持しやすい点が特徴です。噛む力が弱くなってきた方・入れ歯の不具合がある方・硬いものが食べにくくなってきた方に適しています。

デイサービスで働いていた頃、入れ歯が合わなくて食欲が低下していた利用者にやわらか食を提供したところ「食べやすくなった」と喜ばれたケースがありました。食形態を変えることへの抵抗感が少ない段階なので、早めに対応することが重要です。

きざみ食(学会分類コード3〜4・UDF区分2〜3)

食材を細かく刻んだ食事です。噛む力が低下している方向けですが、注意が必要な食形態でもあります。きざむことで食材がバラバラになりやすく、まとまりがないため飲み込む力が低下している方には逆に誤嚥リスクが高まることがあります。とろみ剤と組み合わせて使うことが多いです。

理学療法士として現場で感じてきたのは、きざみ食は「噛めないからきざむ」という発想で安易に選ばれがちですが、飲み込む力の評価を先に行うことが重要だということです。飲み込む力に問題がある方にはきざみ食よりムース食の方が安全な場合があります。

ムース食(学会分類コード3・UDF区分3)

食材をムース状に成形した食事です。舌でつぶせる程度のやわらかさで、飲み込む力が低下している方向けです。食材の形を再現したムース食は見た目の楽しみも維持できる点が評価されています。

食形態をムース食に変更する際、本人が「こんなものは食べたくない」と強く抵抗するケースを現場で何度も経験しました。食形態の変更は本人にとって「食べる楽しみが失われる」という喪失体験になることがあります。食材の形を再現したムース食を選ぶことで、見た目の豊かさを保ちながら安全に食べられる環境を整えることが重要です。

ペースト食・ミキサー食(学会分類コード2・UDF区分4)

食材をペースト状にした食事です。スプーンで簡単につぶせる程度のなめらかさで、飲み込む力が大きく低下した方向けです。見た目が食欲をそそりにくいという課題があるため、食欲維持の工夫が必要です。

嚥下食・ゼリー食(学会分類コード0〜1・UDF区分4)

均質な形態で、咀嚼せず嚥下できるよう付着性・凝集性・かたさ・離水の少なさに配慮したものです。重度の嚥下障害がある方や嚥下リハビリ開始初期の方向けで、医療・リハビリ職の指導のもとで使用します。在宅での使用は必ず担当の言語聴覚士・主治医に相談してください。

とろみの種類と選び方

嚥下機能が低下している方には水やお茶などの液体にとろみをつけることが必要な場合があります。学会分類2021ではとろみについて段階分類しており、薄いとろみ・中間のとろみ・濃いとろみの3段階に分類されています。

とろみの濃さは本人の嚥下機能によって異なります。濃すぎるとろみは飲み込みにくくなるため、必ず言語聴覚士・看護師・主治医の指示に従って使用してください。自己判断でとろみの濃さを変えることは危険です。

食形態の選び方——在宅での判断のポイント

まず専門職に相談することが大前提

食形態の選択は本人の嚥下機能の評価に基づいて決める必要があります。担当のケアマネジャー・主治医・言語聴覚士に相談した上で判断してください。自己判断での食形態変更は誤嚥リスクを高める可能性があります。

嚥下機能低下のサインを見逃さない

以下のサインが見られる場合は食形態の見直しを検討してください。

・食事中に頻繁にむせる ・食事に時間がかかるようになった ・食後に声がガラガラする(湿性嗄声) ・食事を残すことが増えた ・体重が減ってきた ・食事を怖がるようになった

食形態は段階的に変更する

嚥下機能は徐々に低下することが多いため、普通食→やわらか食→ムース食→ペースト食と段階的に変更していくことが基本です。急に食形態を変えると本人が受け入れにくい場合もあります。変化のサインに早めに気づき、少しずつ対応することが重要です。

宅配弁当サービスで食形態を選ぶ際のポイント

在宅高齢者向けの宅配弁当サービスを選ぶ際は、以下の点を確認してください。

・UDF区分またはかたさの表示があるか ・やわらか食・ムース食の取り扱いがあるか ・食形態ごとに栄養成分(タンパク質・カロリー・塩分)が明示されているか ・食形態の選択について相談できる窓口があるか

ケアマネジャーとして在宅支援をしていた経験から、宅配弁当サービスの食形態は担当ケアマネジャーや言語聴覚士と相談しながら選ぶことをお勧めします。施設を退院・退所して在宅に戻る際は、退院前カンファレンスで食形態の情報を確認しておきましょう。

やわらか食・ムース食に対応した宅配弁当サービス

やわらか食・ムース食に対応したサービスとして、ワタミの宅食ダイレクト健康直球便は食形態のラインが充実しており、電子レンジで手軽に温められます。詳しくはこちらの比較記事をご参照ください。

まとめ

高齢者の食事形態は、本人の咀嚼・嚥下機能に合わせて適切に選ぶことが誤嚥予防と栄養確保の両立につながります。

理学療法士・介護支援専門員として現場で感じてきたのは「食形態の変更は遅すぎるよりも早すぎる方がよい」ということです。誤嚥性肺炎を起こしてから食形態を見直すのではなく、食事場面の小さな変化に早めに気づいて対応することが在宅生活を長く続けるための鍵です。

食形態の選択に迷う場合は、担当のケアマネジャーや主治医・言語聴覚士に相談してください。

食形態に配慮した食事を家でも!


この記事を書いた人

秋山 和幸

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