高齢者が食事を食べない理由と対処法|介護現場で見てきた6つのケース

高齢者が食事を食べない理由と対処法|介護現場で見てきた6つのケース

この記事はプロモーションが含まれます。

「宅配弁当を届けているのに食べていない」

「食欲がないわけではなさそうなのに食事が進まない」

在宅介護をしている家族や介護職が直面する悩みのひとつが、高齢者が食事を食べないという問題です。

理学療法士・介護支援専門員としてデイサービスや在宅介護の現場で働いてきた経験から、高齢者が食事を食べない理由は「食欲がない」だけではありません。原因を正しく把握しないまま「もっと食べてください」と声がけするだけでは解決しません。

この記事では、介護現場で実際に経験したケースをもとに、高齢者が食事を食べない5つの理由と具体的な対処法を解説します。

食事が大切な方の宅配弁当や冷凍惣菜なら
高齢者向け宅配弁当おすすめランキング

介護職員として食事を食べない高齢者にどんなことができるかどんな観察をすべきかについては「高齢者が食事を食べない原因と介護現場での対応|6つのケースと観察・報告のポイント(介護業務初心者マニュアル)」が参考になると思います。

ケース① 認知症により「自分の食事」とわからなくなる

デイサービスで働いていた頃、軽度の認知症がある独居の女性利用者がいました。週3回デイサービスに通い、それ以外の日は訪問介護を利用しながら宅配弁当で食事をまかなっていました。娘さんが定期的に自宅を確認し、私たちデイサービスや訪問介護スタッフが1日1回は関わるという見守り体制でした。

デイサービスでは施設内の調理師が温かい食事を提供していたこともあり、ほとんど残さず食べていました。ところが送迎で自宅にお送りした際に宅配弁当を確認すると、かなり残っていることが多く、日によっては全く手をつけていないこともありました。

ご本人に確認すると「私のご飯かどうかわからなかった」「食べていいのかわからなかった」という答えが返ってきました。認知症の症状に波があり、玄関先に届いた宅配弁当が自分のものだと認識できなかったり、玄関からお弁当を持っていくという手順が理解できなくなったりしていたのです。食欲がないわけではなく、認知症による混乱が原因でした。

この方への対処として、お弁当業者さんと訪問介護が連携して以下の工夫をしました。

  • お弁当容器に日付とお名前を書いた紙を貼る
  • カレンダーをわかりやすい場所に置き、デイサービスや訪問介護が来るたびに印をつける
  • 食事の声がけをルーティン化する

工夫を重ねることで食事摂取量は改善されました。

認知症の方が食事を食べない場合、食欲の問題ではなく「自分の食事だとわからない」「食べ方がわからない」という認知機能の問題である場合があります。まず食べていない理由を把握することが先決です。宅配弁当を利用している場合は、容器に名前・日付を記載する、配達員に一声かけてもらうなど、本人が「自分の食事」と認識しやすい工夫が効果的です。

ケース② 「味が薄い」と言って食べない——原因は味覚障害だった

「味が薄い」と言って宅配弁当をほとんど食べない利用者がいました。

高齢者になると「まずい」「薄い」「こんなまずいもん食えるか」と言う人結構多いです。

塩分制限などの医療的な食事制限はない方で、試しに塩や醤油をかけたり、海苔など好みのご飯のお供を添えたりしましたが、それでも「味がしない」「薄い」と言って食が進みませんでした。

食事が食べられない状態が続いたため、病院を受診してもらったところ、鼻に異常があることが判明しました。治療を受けると嗅覚が回復し、味がするようになったと本人から報告がありました。その後は食事をしっかり摂れるようになりました。

高齢者の「味がしない」「薄い」という訴えは、単なる好みの問題ではなく味覚障害・嗅覚障害が原因であることがあります。亜鉛不足・薬の副作用・鼻の疾患・口腔内の問題などが味覚・嗅覚に影響します。調味料を足すだけで解決しようとせず、かかりつけ医に相談することをお勧めします。また亜鉛を多く含む食品(牡蠣・牛肉・ナッツ類)を意識的に摂ることで改善するケースもあります。

ケース③ 嚥下機能の低下で「飲み込めない」が食事を妨げる

介護の仕事をしていると非常に多いのが、嚥下機能の低下による食事摂取困難です。飲み込む力が弱くなると、食事中にむせ込んだり、食べ物が喉に詰まる感覚が生じたりします。食べることへの恐怖心から食事量が減っていくケースです。

あるケースでは食形態をやわらかいものに変更し、とろみをつけることで嚥下がしやすくなりました。しかし最初は本人が強く抵抗しました。「こんなドロドロのものは食べたくない」という気持ちは理解できます。食形態を変えることは、本人にとって「食べる楽しみが減る」という大きな喪失感を伴うことがあります。

その後、やわらか食・ムース食に対応した宅配弁当サービスに切り替えたところ、食材の形を残したまま飲み込みやすい形態の食事を届けてもらえるようになり、本人の満足感が大きく改善しました。「美味しい」という言葉が戻ってきたことが印象に残っています。

嚥下機能の低下が疑われる場合は、自己判断で食形態を変えるのではなく、言語聴覚士・主治医・担当ケアマネジャーに相談してください。食形態が本人の機能に合っていないと、かえって誤嚥リスクが高まる場合があります。やわらか食・ムース食に対応した宅配弁当サービスを活用することで、在宅でも安全で美味しい食事を続けやすくなります。

ケース④ 痰が絡んで食事が喉を通らない

痰が絡んで食事が食べにくいという訴えも介護現場では珍しくありません。痰が絡んでいるとむせ込みやすくなり、食事への恐怖心につながります。サチュレーション(血中酸素飽和度)が低下するほどではなく吸引が必要な状態ではないけれど、痰が絡んで食べにくいというケースがありました。

この場合、食事前に深呼吸や軽い咳払いを促す、上半身を起こした姿勢で食事をする、水分を少し摂ってから食べ始めるなどの工夫が有効です。また食事の温度や食形態を工夫することで痰が絡みにくくなる場合もあります。

痰がらみが続く場合は、呼吸器疾患・逆流性食道炎・口腔内の乾燥などが原因であることがあります。かかりつけ医への相談と口腔ケアの徹底が重要です。食事前の口腔ケアは唾液分泌を促し、嚥下機能の改善にもつながります。

ケース⑤ 便秘によるお腹の不快感で食欲が出ない

「お腹が苦しくて食べられない」という訴えも介護現場では非常に多いケースです。

便秘が続くと胃腸の動きが悪くなり、お腹の張り・不快感・食欲低下につながります。「食欲がない」と言われると食事の内容や量ばかりに目が向きがちですが、排便の状況を確認すると数日間排便がないというケースが少なくありませんでした。

あるケースでは排便のリズムを確認したところ、数日間排便がない状態が続いていることがわかりました。内科の先生に相談して便通改善の内服薬を処方していただいたところ、少しずつお腹の不快感が解消され、食事を摂れるようになっていきました。

高齢者は腸の動きが弱くなりやすく、水分摂取量の減少・運動量の低下・食物繊維の不足が重なって便秘になりやすい状態です。さらに食事量が減ると腸への刺激が少なくなり、さらに便秘が悪化するという悪循環に陥りやすいです。

高齢者が食欲低下を訴えている場合は、排便の状況を必ず確認してください。3日以上排便がない場合は便秘の影響が食欲に出ている可能性が高いです。水分摂取・適度な運動・食物繊維を含む食事を心がけつつ、改善しない場合はかかりつけ医に相談して整腸剤・下剤の処方を検討してもらいましょう。日常的な排便管理は在宅介護において食事管理と同じくらい重要なポイントです。

ケース⑥ 入れ歯が合わず噛めない・怖くて食べられない

入れ歯が合わなくて食欲が低下するケースも多いです。入れ歯がガタガタして噛みにくい状態だと、食事のたびに不快感や痛みが生じます。さらに「入れ歯を飲み込んでしまうのではないか」という不安から、食事に対する恐怖心が生まれることもあります。

こうした状態では食欲が出るはずもなく、気づけば柔らかいものや食べやすいものだけを選ぶようになり、栄養が偏っていきます。

入れ歯の不具合は歯科受診で解決できることが多いです。在宅の高齢者で歯科通院が難しい場合は、訪問歯科診療を活用しましょう。全国的に訪問歯科の対応歯科医院が増えており、担当ケアマネジャーに相談すれば紹介してもらえます。入れ歯が合うようになるまでの間は、やわらか食対応の宅配弁当を活用して栄養を確保することをお勧めします。

衰弱している

そしてやはり食べるということは実は体力を使いますので、衰弱してきていると難しいことが多いです。

これは食べるという噛んだり飲み込んだりという表面的なものだけでなく、飲み込んだものは胃などで消化し、腸で吸収し、そして排泄する。

吸収した栄養は血液を通じて全身に運ばれる。

自然な形で食事を摂取するために座った姿勢を保たなくてはいけない。

気分的にも食べたいという気持ちになる。

このようなことがしっかり揃っていないとやはり食事を取るというのは難しくなってくるのです。高齢者になると食事を食べない、食べれなくなるというところを考えていくと、体の表面的なことや、内臓のこと、気持ちや精神面など、様々ことが連動しているものなのだと感じます。

共通して大切なこと|「なぜ食べないか」を把握することが先決

介護現場で多くの高齢者の食事問題に関わってきた経験から言えることは、「食べない」という行動の背景には必ず理由があるということです。食欲がない・味が薄い・食べにくい・怖い・わからない——これらは見た目には同じ「食べない」という行動ですが、原因も対処法も全く異なります。

「もっと食べてください」「栄養が足りませんよ」という声がけだけでは解決しません。まず食べない理由を把握することが大切です。

確認すべきポイント

  • 食事を残しているのか、手をつけていないのか
  • 食事中にむせ込みがあるか
  • 「味がしない」「薄い」という訴えがあるか
  • 入れ歯の不具合を訴えているか
  • 排便の状況(最後にいつ排便があったか)
  • 食事の内容・量・温度に問題はないか
  • 認知症の症状による混乱はないか
  • 口の中が乾燥していないか(口腔内の状態)

気になるところは、担当のケアマネジャー・主治医・歯科医・言語聴覚士などに相談してみましょう。

食事が食べられない高齢者に宅配弁当サービスができること

「食べない」問題の根本的な解決は医療・リハビリ的なアプローチが必要ですが、食事環境を整えることで改善するケースも多いです。宅配弁当サービスは以下の点で食事問題のサポートになります。

食形態の選択肢が広がる

やわらか食・ムース食・きざみ食など食形態に対応したサービスを選ぶことで、嚥下機能が低下した方でも安全に食べられる食事を届けられます。入れ歯の不具合がある方にも、やわらか食は有効です。

毎日違うメニューで食欲を刺激する

同じメニューが続くと食欲が低下しがちです。日替わりメニューの宅配弁当サービスは、食事の楽しみを維持する観点から重要です。

配達員の見守りで変化に気づく

毎日手渡しで届けるサービスは、配達員が食べ残しや体調の変化に気づくきっかけになります。最初のケースのように、配達員・訪問介護・デイサービスが連携して食事の問題に対応できる体制は、在宅高齢者の安全を守る上で非常に重要です。

まとめ

高齢者が食事を食べない理由は多岐にわたります。認知症による混乱・味覚障害・嚥下機能の低下・痰がらみ・入れ歯の不具合——これらはいずれも、早期に気づいて対処することで改善できる可能性があります。

理学療法士として感じてきたのは、食事問題を放置すると低栄養・体重減少・筋力低下という連鎖が起きて、在宅生活の継続が困難になるということです。「食べない」というサインを見逃さず、早めに担当ケアマネジャーや主治医に相談することをお勧めします。

食事環境の整備という観点では、やわらか食・ムース食に対応した宅配弁当サービスの活用も有効な手段のひとつです。在宅高齢者向けのおすすめサービスはこちらの記事をご参照ください。

食形態・見守りに対応したおすすめ宅配弁当サービス

嚥下機能の低下・認知症・入れ歯の不具合など食事に課題がある高齢者には、食形態や見守り機能に対応した宅配弁当サービスが役立ちます。

やわらか食・ムース食が必要な方

嚥下機能が低下している方や入れ歯の不具合がある方には、やわらか食・ムース食に対応したサービスが向いています。ワタミの宅食ダイレクト健康直球便はやわらか食・ムース食のラインが充実しており、電子レンジで手軽に温められます。


見守りも兼ねたい方

認知症の方や一人暮らしの高齢者には、毎日手渡しで届けるワタミの宅食(冷蔵)が向いています。配達員が毎日顔を見て届けてくれるため、食べ残しや体調の変化に気づきやすくなります。


食材の安全性にこだわりたい方

国産素材・無添加にこだわったわんまいるは、食欲が落ちている高齢者に素材本来の味を楽しんでもらいたい家族に向いています。

詳しくはこちらの比較記事をご覧ください。

高齢者向け宅配弁当おすすめランキング【2026年最新】

この記事を書いた人

秋山 和幸
あなたへのおすすめ