高齢者の便秘と食事|在宅だからできる腸内環境を整える食べ方を専門家が解説

高齢者の便秘と食事|在宅だからできる腸内環境を整える食べ方を専門家が解説

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高齢になると、便秘に悩む方が本当に多くなります。3日くらい排便がない、5日くらい出ていない、という方も介護の現場では珍しくありません。

理学療法士・介護施設管理者として高齢者の方に関わってきた経験から、高齢者の便秘の原因と、食事を中心とした対策についてお話ししたいと思います。

高齢者は便秘になりやすい

高齢になると、3日くらい排便がなかったり、5日くらい出なかったりという方が結構いらっしゃいます。自分なりに便秘薬を飲んで調整している方もいますし、介護施設や老人ホームに入所している場合には、何日間排便がなかったら下剤を内服していただく、というように、あらかじめ医師が決めているケースもあります。

もともと若い頃に比べると全身の機能が弱っていくので、それだけでも便秘になりやすくなります。でも実際には、それに加えていくつかの要因が重なっていることが多いんです。

高齢者の便秘の主な原因

水分摂取の不足

水分が足りていないと、便が硬くなって出にくくなります。高齢者は「トイレが近くなるから」と水分を控えがちですが、水分不足は便秘の大きな原因のひとつです。水分と便秘は密接に関係しているので、まず水分がしっかり取れているかを見直すことが大切です。

腸内環境を整える食べ物の不足

発酵食品や乳酸菌、オリゴ糖など、腸内細菌を元気にしてくれる食べ物を取る機会が少なくなっていることも原因になります。一人暮らしで食事が偏ったり、同じものばかり食べていたりすると、こうした腸に良い食材が不足しがちです。

運動不足

腸や全身に適度な刺激を与える運動が不足していることも便秘につながります。体を動かさないと腸の動きも鈍くなりがちです。

姿勢の問題

ずっと車椅子で過ごしていてトイレでの排泄が難しい方も、便秘がちになりやすいです。やはり寝たままおむつで排便するというのは、どうしても出にくいんですね。理想を言えば洋式トイレに座って排泄する方がいいと言われていますが、なかなかそれが叶わない方もいます。それでも、重力の関係で考えると、起きていられる時はなるべく起きている方が、排便を促すことにつながると思います。

背骨を動かす体操で快便につながることも

理学療法士として関わる中で感じるのは、高齢者の方は座っていることが多いので、背骨が硬くなっている方が多いということです。背骨には脊髄を通っていてそこから内臓にも神経が通っています。また、背骨の周辺には内臓のへ血管や腹膜、大腸・小腸などの内臓そのものがあるので、背骨とその周りを意識して動かすような体操やストレッチをしていただくと、科学的に立証されているわけではありませんが、経験的に「次の日は快便だった」という話を聞くことが多いです。

背骨や体幹を動かすことは、腸への適度な刺激になります。激しい運動である必要はありません。体を軽くひねる、前後に倒す、つながっている背骨の一つ一つがほぐれるようにゆっくり動かすように、ゆったりとした動きでも、腸の動きを促す助けになります。無理のない範囲で、日常に体を動かす習慣を取り入れてみてください。

在宅だからこそできる「快便のための食事」

これは在宅で生活している方の大きなメリットなんですが、介護施設に入居してしまうと、なかなか自分だけお漬物を食べたり、乳酸菌の多いものを取ったりというのが難しくなります。集団生活だとどうしても食事の自由が限られるんですね。

その点、家で生活している方は食事の自由があります。せっかくなので、快便という観点から食事を見直してみるのもいいと思います。具体的には、こんな食材を意識してみてください。

発酵食品・乳酸菌(昔ながらの漬物や納豆)

昔ながらのお漬物や納豆は、乳酸菌や善玉菌を含む発酵食品です。腸内環境を整えるうえで頼りになる食材です。日本人が昔から食べてきたものなので、高齢者の方にもなじみがあって取り入れやすいと思います。ただし漬物は塩分が高いものもあるので、塩分制限がある方は量に注意してください。

食物繊維(ごぼうやさつまいもなどの根菜)

ごぼうやさつまいもなどの根菜類は、食物繊維が豊富です。食物繊維は便のかさを増やして、腸の動きを促してくれます。煮物や汁物にすると、やわらかくなって食べやすくなりますし、水分も一緒に取れるので一石二鳥です。

適度な油分(魚やオリーブオイル)

高齢になると、油を摂取するのを控えがちになる方が多いです。でも、適度な油分は便の滑りを良くして、排便を助けてくれます。魚に含まれる油や、オリーブオイルなどの良質な油を適度に摂ることも、快便の観点では大切です。揚げ物のような重い油ではなく、魚やオリーブオイルといった体に優しい油を意識してみてください。

プロバイオティクスとプレバイオティクスを意識する

介護施設の食事は、どちらかというと栄養価に着目してしまう面が強いんです。カロリーやたんぱく質、塩分といった数値はしっかり管理されているんですが、腸内環境という視点はやや抜けがちな印象があります。

そこでぜひ意識してほしいのが、プロバイオティクスとプレバイオティクスという考え方です。聞き慣れない言葉かもしれませんが、難しいことではありません。

プロバイオティクスは、腸内細菌そのものをしっかり働いてもらうこと。乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を含む食べ物、つまりヨーグルトや納豆、漬物などがこれにあたります。

プレバイオティクスは、腸内細菌の善玉菌の餌になるものを摂ること。オリゴ糖や食物繊維がこれにあたります。善玉菌そのものを摂るだけでなく、その善玉菌が元気に働くための餌も一緒に摂ることで、腸内環境がより整いやすくなります。

この2つを意識して、腸内環境を改善するような食事を考えていくと、便秘の改善につながりやすいと思います。

便秘が続くときは医療機関への相談も

食事や運動で工夫しても便秘が続く場合や、急に排便のリズムが変わった場合は、医療機関への相談も大切です。便秘の背景に、腸の病気など別の原因が隠れていることもあります。特に、これまでなかった強い腹痛や嘔吐、何日も全く排便がないといった場合は、早めに受診してください。

便秘によってお腹が張って苦しくなると、食欲も落ちてしまいます。食事が取れなくなると、さらに腸への刺激が減って便秘が悪化するという悪循環に陥ることもあります。便秘と食欲は密接に関係しているので、排便の状況もしっかり見ていくことが大切です。

栄養バランスと腸内環境の両方を考えた食事を

一人暮らしで毎日の食事を整えるのが難しい場合は、栄養バランスの取れた宅配弁当を活用するのも一つの方法です。発酵食品や根菜類を使ったメニューが含まれているものを選んだり、宅配弁当に納豆やヨーグルトを一品足したりすることで、栄養と腸内環境の両方をカバーしやすくなります。

高齢者向けの宅配弁当については、こちらの比較記事もご覧ください。

まとめ

高齢者の便秘は、全身機能の低下に加えて、水分不足、腸内環境を整える食べ物の不足、運動不足、姿勢の問題などが重なって起こります。だからこそ、対策も食事だけでなく、水分や運動、姿勢といった複数の面から取り組むことが大切です。

特に在宅で生活している方は、施設に比べて食事の自由があります。昔ながらの漬物や納豆、ごぼうやさつまいもなどの根菜、魚やオリーブオイルといった良質な油など、快便につながる食材を意識して取り入れてみてください。プロバイオティクスとプレバイオティクスを意識した食事で、腸内環境を整えていきましょう。

便秘が続いて心配な時は、担当のケアマネジャーや主治医に相談してください。その方の状態に合った対策を一緒に考えてもらえると思います。

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