高齢者に不足しがちな亜鉛|味覚障害との関係と食事での補い方を専門家が解説

高齢者に不足しがちな亜鉛|味覚障害との関係と食事での補い方を専門家が解説

この記事はプロモーションが含まれます。

「最近、食べ物の味を感じにくい」「なんだか元気が出ない」。高齢の方のこうした不調、もしかすると亜鉛不足が関係しているかもしれません。高齢者の食事に関わってきた経験から、高齢者に不足しがちな亜鉛について、なぜ不足するのか、どう補えばいいのかを解説します。

先にお伝えしておくと、この記事は一般的な情報をお伝えするものです。体調の不安や、亜鉛不足が疑われる症状がある場合は、自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。

日本人は亜鉛が不足しがち

日本人は亜鉛が不足しがち

亜鉛は、体にとって欠かせない必須ミネラルの一つです。体内の多くの酵素の働きに関わっていて、細胞の新陳代謝やたんぱく質の合成など、生命の維持に重要な役割を果たしています。

ところが、日本人は亜鉛の摂取が不足しがちだと、よく言われます。亜鉛は体内で作ることも、たくさん蓄えておくこともできないため、毎日の食事でこまめに摂る必要があるんです。そして、高齢者は特に不足しやすい傾向があります。食が細くなって食事量そのものが減ったり、後で説明するように、亜鉛を多く含む食材を口にする機会が少なかったりするためです。

亜鉛が不足するとどうなる?

亜鉛が不足すると、体にさまざまな影響が出ることがあります。高齢者で特に気をつけたいのが、次のような症状です。

味覚障害

亜鉛不足で最もよく知られているのが、味覚障害です。味を感じる舌の「味蕾(みらい)」という器官は、新陳代謝がとても速く、その再生に亜鉛が必要です。亜鉛が足りないと味蕾がうまく作られず、「味を感じにくい」「食べ物が美味しくない」という状態になることがあります。

これは食欲低下にも直結します。味がわからないと食事が楽しくなくなり、食べる量が減って、さらに栄養が不足するという悪循環に陥りやすいんです。高齢者が「最近ごはんが美味しくない」と言うとき、その背景に亜鉛不足が隠れていることもあります。

免疫力の低下・傷が治りにくい

亜鉛は免疫の働きにも関わっているため、不足すると感染症にかかりやすくなることがあります。また、皮膚や粘膜の再生にも必要なので、傷や床ずれ(褥瘡)が治りにくくなることもあります。高齢者にとっては、どちらも見過ごせない問題です。

その他の症状

このほかにも、亜鉛不足は食欲不振、口内炎、貧血、脱毛、肌荒れなどの原因になることがあります。ただし、これらの症状は亜鉛不足以外の原因でも起こるので、症状だけで自己判断はできません。気になる症状が続く場合は、内科で血液検査(血清亜鉛値)を受けることで、正確に確認できます。

薬の影響で亜鉛不足になることも

高齢者に特に知っておいてほしいのが、薬の影響です。薬の中には、亜鉛と結びついて体の外に排出してしまう作用(キレート作用)を持つものがあります。降圧剤、利尿剤、解熱鎮痛剤、糖尿病治療薬など、高齢者がよく飲んでいる薬にも該当するものがあります。

薬を長く飲んでいる方や、複数の薬を飲んでいる方は、それだけで亜鉛が不足しやすくなっている可能性があります。ただし、だからといって自己判断で薬をやめるのは絶対にダメです。味覚異常などが気になる場合は、まず主治医や薬剤師に相談してください。薬の影響が疑われる場合でも、勝手に中断せず、専門家と一緒に対策を考えることが大切です。

亜鉛を多く含む食材は、高齢者が口にしにくいものが多い

では、亜鉛はどんな食材に含まれているのでしょうか。代表的なものを挙げると、牡蠣などの貝類、レバー、牛の赤身肉、うなぎなどです。

ここで、私が現場で感じてきた問題があります。これらの食材は、高齢者が普段の生活ではなかなか口にしにくいものが多いんです。牡蠣を一人暮らしの高齢者が自分で買ってきて調理する、というのは現実的ではありませんよね。レバーも、好き嫌いが分かれますし、下処理が面倒で自分ではまず作りません。牛の赤身肉も、噛む力が弱くなってくると敬遠されがちです。

つまり、亜鉛を多く含む食材は、意識して摂ろうとしない限り、高齢者の食卓にはなかなか登場しないんです。ごはんにふりかけ、うどん、パンといった食事が中心になると、亜鉛はますます不足していきます。これが、高齢者が亜鉛不足に陥りやすい大きな理由の一つだと感じています。

いろいろな食材を使った食事が、不足を防ぐ鍵

亜鉛に限らず、高齢者が不足しがちな栄養を補うために大切なのは、いろいろな食材をバランスよく食べることです。特定の栄養素だけをピンポイントで狙うより、多様な食材を使った食事を続けることが、結果的にさまざまな栄養素の不足を防いでくれます。

とはいえ、これが一番難しいところです。一人暮らしや高齢のご夫婦だけの世帯で、牡蠣やレバー、赤身肉といった、普段使わない食材まで取り入れた多様な献立を毎日用意するのは、現実的にとても大変です。買い物も調理も負担が大きく、結局いつも同じような食事に偏ってしまいます。

管理栄養士が監修した宅配弁当という選択肢

そこで役立つのが、管理栄養士が監修した宅配弁当です。

宅配弁当の大きな魅力は、栄養の専門家である管理栄養士が献立を設計しているため、自分ではなかなか使わない食材まで、バランスよく取り入れられていることです。たとえば、レバーを使った料理や、赤身肉、魚介類を使った献立など、家庭ではあまり登場しない食材のメニューが入っていることがあります。自分で食事を用意していると、どうしても食べ慣れたもの、作りやすいものに偏りがちですが、プロが組んだ献立なら、普段摂りにくい栄養素まで自然とカバーできる可能性が高まります。

毎食すべてを宅配弁当にする必要はありません。1日1食でも、管理栄養士が設計した多様な食材の食事を取り入れることで、偏りがちな栄養バランスをぐっと整えやすくなります。「自分では絶対に作らないような料理が食べられるのが楽しい」という声もよく聞きます。栄養面だけでなく、食の楽しみやバリエーションという意味でも、宅配弁当は役立ちます。

栄養バランスを重視した、管理栄養士監修の宅配弁当については、こちらの比較記事もご覧ください。

サプリメントは「補助」。摂りすぎに注意

亜鉛はサプリメントで補うこともできます。ただ、ここは専門家として、しっかりお伝えしておきたいことがあります。

サプリメントは、あくまで食事で足りない分を補う「補助」として使うものです。基本は食事から摂るのが望ましく、サプリだけに頼るのは良くありません。そして、現場で見ていて気になるのが、サプリメントをむやみやたらに、たくさん飲んでしまう高齢者が少なくないことです。「体に良さそうだから」と、いくつものサプリや栄養ドリンクを重ねて飲んでいる方もいます。

でも、亜鉛は摂りすぎると良いものではありません。過剰に摂取すると、かえって他のミネラル(銅など)の吸収を妨げたり、体調不良を引き起こしたりすることがあります。「たくさん摂れば摂るほど健康になる」というものではないんです。複数のサプリや栄養ドリンクを重ねて飲むと、知らないうちに過剰摂取になっている危険もあります。

サプリメントで亜鉛を補いたい場合は、必ずかかりつけ医に相談してください。特に、何か薬を飲んでいる方は、飲み合わせの問題もあるので、自己判断で始めるのは避けましょう。まずは食事から、そして足りない分を医師と相談しながら補助的に、というのが安全な考え方です。

まとめ

亜鉛は高齢者が不足しやすい栄養素で、不足すると味覚障害や免疫力の低下、傷が治りにくいなどの不調につながることがあります。薬の影響で不足することもあるので、味覚異常などが気になる場合は、自己判断せず医療機関に相談してください。

亜鉛を多く含む牡蠣・レバー・赤身肉などは、高齢者が普段口にしにくい食材です。だからこそ、いろいろな食材をバランスよく使った食事が大切で、管理栄養士が監修した宅配弁当は、自分では用意しにくい多様な食材を取り入れる助けになります。サプリメントは補助として、摂りすぎに注意し、医師に相談しながら使いましょう。

食事や栄養のことで気になることがあれば、担当のケアマネジャーや主治医、管理栄養士に相談してみてくださいね。

あなたへのおすすめ